法人PCを売却・廃棄したときの経理処理:売却益・除却損の仕訳と、償却資産の申告で忘れやすいこと
入替で使わなくなった法人PCを売却したり廃棄したりすると、経理では固定資産台帳から外す処理が必要になります。どう処理するかは、そのPCを買ったときに、全額を費用にしたのか、資産に計上して減価償却してきたのかで変わります。
この記事では、国税庁と自治体の公表内容(2026年10月時点)をもとに、取得時の区分ごとの扱い、売却・廃棄の仕訳例、償却資産(固定資産税)の申告で忘れやすいこと、残しておきたい書類を一般的に整理します。実際の処理は会社ごとに異なるため、税理士や経理担当に確認してください。
結論:買ったときの区分を確かめ、償却資産の申告まで一緒に片づける
資産に計上して減価償却しているPCは、売却したら売却額と帳簿価額の差が売却益または売却損に、廃棄したら帳簿価額が除却損になります。一方、20万円未満で一括償却資産として処理したPCは、売却・廃棄しても、残りを当初の3年間の計算どおりに損金に算入し続けます。
忘れやすいのが、償却資産(固定資産税)の申告です。中小企業者等の特例で全額を損金にしたPCも、償却資産の申告の対象です。売却・廃棄したPCは、次の申告で「減少」として届け出ます。
この記事は一般的な説明です
国税庁と自治体の公表内容(2026年10月10日に確認)にもとづく一般的な説明で、個別の会社の処理を判断するものではありません。実際の処理は、会社の経理方法や状況によって異なります。必ず税理士や経理担当に確認してください。
まず確認:PCを買ったときの区分
法人税では、PCの取得価額によって、買ったときの処理が分かれます。どの区分で処理したかは、固定資産台帳や法人税申告書の別表16などで確認できます。この区分によって、売却・廃棄したときの扱いと、償却資産の申告の要否が決まります。
| 取得時の区分 | 買ったときの処理(法人税) | 売却・廃棄したとき | 償却資産の申告 |
|---|---|---|---|
| 10万円未満で全額を費用にしたもの(少額の減価償却資産) | 使い始めた事業年度に、取得価額の全額を損金経理する | 資産として帳簿に残っていないため、売却代金がそのまま収益になる | 対象外 |
| 20万円未満で一括償却資産として処理したもの | その事業年度に使い始めた分の合計を、3年間で均等に損金に算入する | 売却・廃棄しても、残りは3年間の計算どおりに損金算入を続ける。売却代金は収益になる | 対象外 |
| 中小企業者等の特例で全額を費用にしたもの(30万円未満。2026年4月1日以後の取得分は40万円未満) | 使い始めた事業年度に、取得価額の全額を損金に算入する(年300万円まで) | 資産として帳簿に残っていないため、売却代金がそのまま収益になる | 対象。売却・廃棄したら減少の申告が必要 |
| 上記以外(資産に計上して減価償却しているもの) | 法定耐用年数(パソコンは4年、サーバー用は5年)で減価償却する | 売却額と帳簿価額の差が売却益・売却損になる。廃棄したら帳簿価額が除却損になる | 対象。売却・廃棄したら減少の申告が必要 |
- 1台ごとに判定:10万円未満・20万円未満かどうかは、通常1単位として取引される単位ごとに判定します(法人税基本通達7-1-11)。
- 税抜か税込か:税抜経理方式の会社は税抜の金額、税込経理方式の会社は税込の金額で判定します。国税庁は、税込10万7,800円(税抜9万8,000円)のPCを例に説明しています(国税庁 No.5403 の Q&A(外部サイト・新しいタブで開きます))。
- 20万円未満でも個別に減価償却したもの:全額の費用化や一括償却を選ばず、資産に計上して減価償却しているPCは、表の最後の行と同じ扱いです。
中小企業者等の少額減価償却資産の特例(2026年4月の改正)
国税庁の案内(No.5408(外部サイト・新しいタブで開きます)、令和8年4月1日現在法令等)では、令和8年度の改正で次のように定められています。
- 取得価額の基準:2026年4月1日以後に取得などをしたものは40万円未満です(改正前は30万円未満)。それより前に取得したPCは、30万円未満が基準でした。
- 年間の上限:その事業年度に特例を使う資産の取得価額の合計で、300万円までです(1年に満たない事業年度は月数で按分)。
- 期間:2029年(令和11年)3月31日までに取得などをして事業に使ったものが対象です。
- 対象の会社:青色申告をしている中小企業者等です。常時使用する従業員の数の基準は、2026年4月1日以後に取得などをしたものから400人以下(改正前は500人以下)に変わりました。
- 使えないもの:10万円未満のものや、一括償却資産として処理したものには使えません。
法定耐用年数と、償却が終わったPC
資産に計上したPCは、耐用年数省令の別表で、電子計算機のうち「パーソナルコンピュータ(サーバー用のものを除く)」が4年、それ以外(サーバー用など)が5年とされています。2007年4月1日以後に取得した減価償却資産は、耐用年数を過ぎると帳簿価額1円まで償却できます(国税庁 No.5410(外部サイト・新しいタブで開きます))。耐用年数を過ぎたPCは、帳簿価額が1円になっていることがあります。
売却したとき:売却益・売却損と消費税
資産に計上しているPCを売却したら、売却額と売却時の帳簿価額の差額を、固定資産売却益または固定資産売却損として計上します。全額を費用にしたPCは、資産として帳簿に残っていないため、売却代金がそのまま収益になります。
期の途中で売却する場合は、その期の減価償却費をどう計上するかで、売却時の帳簿価額が変わります。扱いは経理担当や税理士に確認してください。
消費税
- 事業用のPCの売却も課税対象:国税庁は、事業に使っていた建物・機械・車両などの事業用資産の売却も、消費税の課税対象になると説明しています。消費税の課税事業者であれば、PCの売却代金は課税売上げになります。
- かかるのは売却代金に:消費税の課税標準は、売却益ではなく売却代金(対価の額)です(消費税法第28条)。帳簿価額が1円のPCでも、売却代金の全額が対象になります。
- 売却先から受け取る書類を保存:売却先から受け取る明細や契約書は、売却額と台数の根拠になります。消費税の書類の扱いは、経理担当に確認してください。
売却の方法によって、金額が決まる時期や入金の時期が違います。買取は査定額に合意した時点で金額が決まり、販売代行は販売が終わってから金額が決まります(法人PCの「買取」と「販売代行」の違い)。いつ売却として計上するかも含めて、経理担当と確認しておくと安心です。
仕訳例:売却・廃棄の場面ごと
次の仕訳は、消費税の課税事業者が税抜経理方式(税率10%)で処理し、減価償却を直接法で記帳している場合の例です。金額は説明のための例で、実際の売却額の目安ではありません。
| 場面(例) | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 帳簿価額5万円のPCを、8万円(税込8万8,000円)で売却 | 普通預金 88,000 | 器具備品 50,000/固定資産売却益 30,000/仮受消費税等 8,000 |
| 帳簿価額5万円のPCを、2万円(税込2万2,000円)で売却 | 普通預金 22,000/固定資産売却損 30,000 | 器具備品 50,000/仮受消費税等 2,000 |
| 償却が終わり帳簿価額1円のPCを、1万円(税込1万1,000円)で売却 | 普通預金 11,000 | 器具備品 1/固定資産売却益 9,999/仮受消費税等 1,000 |
| 全額を費用にしたPCを、1万円(税込1万1,000円)で売却 | 普通預金 11,000 | 雑収入 10,000/仮受消費税等 1,000 |
| 帳簿価額5万円のPCを廃棄 | 固定資産除却損 50,000 | 器具備品 50,000 |
| 廃棄を委託し、費用5,000円(税込5,500円)を支払う | 支払手数料 5,000/仮払消費税等 500 | 普通預金 5,500 |
記帳の方法で、仕訳の形は変わる
減価償却累計額を使う間接法では、取得価額と減価償却累計額の両方を消します。税込経理方式では、消費税を分けずに処理します。勘定科目の名前(雑収入、支払手数料など)は会社の決まりに合わせてください。
廃棄したとき:除却損と、廃棄にかかる費用
廃棄(除却)したPCは、その時点の帳簿価額を固定資産除却損として計上し、固定資産台帳から外します。廃棄を業者に委託した費用は、除却損とは別に費用として計上します(上の例では支払手数料)。
なお、法人税基本通達7-7-2には、使用を廃止し、今後通常の方法で事業に使う可能性がないと認められる固定資産は、廃棄していなくても、帳簿価額から処分見込価額を差し引いた金額を除却損にできるという取扱い(有姿除却)があります(法人税基本通達 第7章第7節第1款(外部サイト・新しいタブで開きます))。PCに当てはまるかは個別の判断になるため、税理士に確認してください。
廃棄する場合は、どこに委託するかで、契約や受け取る書類が変わります。処分先ごとの違いは、法人PCの処分先を比べるをご覧ください。値段がつくPCは、廃棄の前に売却できないかも確かめておくとよいでしょう。
一括償却資産を売却・廃棄したとき:残りはそのまま3年間で
取得価額20万円未満で一括償却資産として処理したPCは、その事業年度に使い始めた分の取得価額の合計を、3年間で均等に損金に算入します(12か月の事業年度なら毎年3分の1)。
途中でそのPCを売却・廃棄しても、残りをその年にまとめて損金にすることはできません。国税庁の法人税基本通達7-1-13は、一括償却資産に滅失や除却などがあっても、損金に算入できるのは当初の計算どおりの金額までとしており、売却(譲渡)した場合も同じとしています。売却代金は、その事業年度の収益として計上します。
PCを手放しても、損金算入は残る
一括償却資産は、PC本体を手放したあとも、損金算入が最長で3年間続きます。台帳から消してしまうと、残りの金額がわからなくなります。一括償却資産の管理表などで、何年度にいくら残っているかがわかるようにしておきます。なお、一括償却資産は償却資産の申告の対象外です。
償却資産(固定資産税)の申告で忘れやすいこと
事業に使うPCは、固定資産税の「償却資産」にあたります。毎年1月1日時点で持っている償却資産を、1月31日までに、資産のある市町村(東京23区は都税事務所)に申告します(地方税法第383条)。決算期とは関係なく、1月1日時点の状況で申告します。期限が休日にあたる年は、期限が後ろにずれます。
申告の対象になるPC、ならないPC
- 対象外:10万円未満で全額を損金にしたもの、20万円未満で3年間の一括償却をしたもの。
- 対象:中小企業者等の特例で全額を損金にしたもの。特例は法人税(国税)の制度で、固定資産税には適用されません。
- 対象:20万円未満でも、資産に計上して個別に減価償却しているもの。
- 対象:償却が終わったもの、使っていないもの。1月1日時点で事業に使える状態なら、申告の対象です。
持っている償却資産の課税標準額の合計が150万円未満なら固定資産税はかかりませんが、その場合も申告は必要です(越谷市「償却資産のよくある質問」(外部サイト・新しいタブで開きます))。
売却・廃棄したPCは「減少」として申告する
前の年に売却・廃棄したPCは、次の申告で、減少した資産として届け出ます。申告書には、減少した資産を書く明細書(種類別明細書(減少資産用)など)があり、市町村によっては、売却か廃棄かといった減少の理由も記入します。様式や書き方は市町村によって違うため、資産のある市町村の申告の手引きで確認してください。
反対に、1月1日の時点で社内に残っているPCは、使っていなくても事業に使える状態なら申告の対象です。入替で出た古いPCを年をまたいで保管する場合は、台帳と申告の内容を合わせておきます。
法人税の処理と、償却資産の申告は別もの
中小企業者等の特例で全額を損金にしたPCは、法人税では資産として帳簿に残っていなくても、償却資産の申告には残っています。売却・廃棄したことが申告の担当に伝わらないと、手放したPCを申告し続けることになりかねません。売却・廃棄の記録は、経理と申告の担当で共有してください。
残しておきたい書類と記録
売却・廃棄の処理と償却資産の申告の根拠として、次のような書類と記録を、台帳の該当するPCとひもづけて保管します。
- 売却の契約書と、売却先から受け取る明細:台数、機種、シリアル番号、金額がわかるもの。
- データ消去の記録:消去した日、方法、結果がわかるもの。消去証明書で確認したい項目は、データ消去証明書とは?をご覧ください。
- 売却・除却の社内承認の記録:稟議書など、いつ誰が手放すことを決めたかがわかるもの。
- 廃棄を委託した場合の書類:委託先との契約書と、処分が終わったことがわかる書類。
- 固定資産台帳とIT資産台帳の更新:シリアル番号で突き合わせ、売却・廃棄した日と相手を記録します。償却資産の申告書の控えも一緒に保管します。
台帳に残しておきたい項目や、入替全体の流れは、法人PC入替のチェックリストで解説しています。
REER JAPAN にご相談いただけること
REER JAPAN は、日本ITAD協会の正会員です。入替で出た古いPCの売却とデータ消去を、まとめてご相談いただけます。
- 古いPCの買取:1台から査定します。古い機器や故障品も含めて、まとめて査定します。買取額にご承諾いただいたあと、銀行振込でお支払いします。(法人PC買取)
- 販売代行:国内外の販路で、お客様に代わって販売します。検品レポートと販売価格の2段階でご承諾いただき、販売が完了したあと、サービス料を差し引いて入金します。(法人向けPC販売代行)
- データ消去:機器リストをご承認いただいてから消去し、1台ずつ記録します。買取する機器のデータ消去は無料です。消去証明書の発行は有料です(お見積りでご案内します)。(法人向けPCデータ消去)
- 回収:関東圏はご指定の場所へ訪問回収、関東圏以外は宅配便でお預かりします。宅配便は事前のお見積りが必要です。(法人PCの回収)
経理処理や税務の判断は、税理士や経理担当にご確認ください。台数と機種をお知らせいただければ、売却の方法とデータ消去をあわせてご提案します。お見積りは無料です。無料お見積りからご相談ください。
文:株式会社REER JAPAN
参考
- 国税庁「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」(令和8年4月1日現在法令等)(外部サイト・新しいタブで開きます)
- 国税庁「法人税基本通達 第7章第1節第2款 少額の減価償却資産等」(7-1-13 一括償却資産につき滅失等があった場合の取扱い)(外部サイト・新しいタブで開きます)
- e-Gov 法令検索「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」(別表第一)(外部サイト・新しいタブで開きます)
- 国税庁 質疑応答事例(消費税)「事業者の事業用固定資産の売却」(外部サイト・新しいタブで開きます)
- 越谷市「償却資産とは」(申告の対象となる資産、対象から除かれる資産)(外部サイト・新しいタブで開きます)
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