法人PCの処分先を比べる:メーカー回収・買取業者・産業廃棄物処理業者の違いと選び方
会社で使っていたパソコンを手放すとき、行き先は大きく3つに分かれます。メーカーの法人向け回収、中古品として買い取る業者、そして産業廃棄物処理業者です。どれを選ぶかで、費用のかかり方や必要な書類が変わります。
この記事では、法律上の扱いを確認したうえで3つの違いを比べ、主要メーカーの法人向け回収窓口と、処分先の選び方を整理します。
結論:値段がつく機器は売却、つかない機器はメーカー回収か許可業者へ
処分先を決めるいちばんの目安は、その機器に値段がつくかどうかです。値段がつく機器は、廃棄せずに売却(買取・販売代行)できます。値段がつかない機器は、メーカーの法人向け回収に出すか、産業廃棄物の処理の許可を持つ業者に委託します。
どの行き先を選んでも、引き渡す前のデータ消去と、1台ごとの記録は欠かせません。メーカー回収の多くは、データ消去を利用者側で行うよう案内しています。
会社のパソコンを廃棄するときの決まり
会社で使ったパソコンは産業廃棄物
廃棄物処理法は、事業者に対し、事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任で適正に処理するよう求めています。会社や役所、学校などで使ったパソコン(事業系パソコン)を廃棄する場合は産業廃棄物として扱われ、家庭ごみと同じようには出せません。
産業廃棄物の処理を他社に委託するときは、許可を持つ業者と書面で委託契約を結び、引き渡しと同時にマニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付するのが原則です。
メーカーには回収・再資源化の義務がある
使用済みのパソコンは、資源有効利用促進法により、メーカーによる回収とリサイクルが義務づけられています。会社で使ったパソコンも、家庭で使ったパソコンも、メーカーに回収・リサイクルしてもらうことができます。会社で使ったパソコンについては、2001年4月からメーカーの義務になっています。
多くのメーカーは、業界団体の一般社団法人パソコン3R推進協会(PC3R)を通じて法人からの回収を受け付けています。富士通や NEC のように、自社の窓口で受け付けるメーカーもあります。
広域認定とマニフェストの関係
広域認定制度は、製品が廃棄物になったものの処理を、その製品のメーカーなどが広域的に行う場合に、自治体ごとの処理業の許可を不要とする特例で、環境大臣が認定します。PC3R、富士通、NEC(日本電気)は、環境省が公表している認定の一覧に載っています。
廃棄物処理法の施行規則は、広域認定を受けた者に、その認定に係る産業廃棄物の運搬や処分を委託する場合を、マニフェストの交付を要しない場合のひとつとしています。PC3R や富士通も、自らの広域認定による回収では、お客様がマニフェストを起票・管理する必要はないと案内しています。
広域認定による回収かどうかは、申し込む前に確認を
マニフェストを交付しなくてよいのは、広域認定を受けた者に、その認定の範囲で委託する場合です。メーカーの窓口に申し込むときは、広域認定による回収かどうかを確認し、受け取った完了報告書などを保管しておきましょう。
家庭用の「PCリサイクルマーク」とは別の仕組み
PCリサイクルマークは、家庭で使われたパソコンを、新たな料金を負担せずにメーカーへ出せるようにするための、家庭系パソコンの仕組みです。会社で使ったパソコンについては、マークの有無にかかわらず費用がかかると案内しているメーカーもあります。費用の扱いは、メーカーごとに確認してください。
メーカー回収・買取業者・産業廃棄物処理業者の比較
| 項目 | メーカーの法人向け回収 | 買取業者 | 産業廃棄物処理業者 |
|---|---|---|---|
| 費用の考え方 | 多くは有償。台数や回収地域などに応じた見積り | 値段がつく機器は代金を受け取る。値段がつかない機器の扱いは業者による | 有償。処理の委託費用がかかる |
| 対象 | そのメーカーの製品だけ。他社製品は各メーカーへ | 中古品として値段がつく機器 | 許可を受けた品目・区域の範囲で、メーカーを問わない |
| 契約・書類 | メーカーまたは PC3R との契約。広域認定による回収では、お客様がマニフェストを起票・管理する必要はないと案内されている | 売買の契約。取引の明細を受け取る | 書面での委託契約と、引き渡し時のマニフェストの交付・保存が必要 |
| データ消去 | 引き渡し前の消去は、利用者が行うよう案内する窓口が多い。処分の完了報告書を発行する窓口もある | 消去を引き受けるか、1台ごとの記録を出すかは業者による | 消去を引き受けるか、どんな記録を出すかは業者による |
| 向いているケース | 値段がつかない機器を、メーカーごとにまとめて出せる | 年式が比較的新しい、状態がよいなど、値段がつく機器がある | 値段がつかない機器が多くのメーカーにまたがる |
メーカーの法人向け回収
製品をつくったメーカー、またはメーカーに代わって PC3R が回収し、再資源化する方法です。対象はそのメーカーの製品に限られ、費用は見積りで決まるのが一般的です。広域認定による回収であれば、収集運搬と処分の業者と個別に契約を結ぶ必要がありません。
買取業者(売却)
値段がつく機器を、中古品として売却する方法です。処分の費用をかけずに、売却代金を受け取れます。中古品を買い取って売る営業には、古物営業法にもとづく公安委員会の許可(古物商許可)が必要なので、依頼する前に業者の許可を確認しておくと安心です。値段がつかない機器を引き取るかどうかは、業者によって違います。
産業廃棄物処理業者
都道府県知事などの許可を受けた収集運搬業者・処分業者に、廃棄物として処理を委託する方法です。メーカーを問わずにまとめて委託できますが、許可の品目と区域の確認、書面での委託契約、マニフェストの交付と保存が必要です。委託したあとも、処理が適正に行われているかを確認するよう努めることが求められています。
主要メーカーの法人向け回収窓口
会社で使ったパソコンの回収は、メーカーごとに受付の窓口が違います。PC3R が約30社のメーカーに代わって受け付けているほか、富士通や NEC のように自社で受け付けるメーカーもあります。
| メーカー | 受付の窓口 | 対象と主な条件 |
|---|---|---|
| 富士通 | 富士通(事業系IT製品リサイクルサービス) | 富士通製品のみ。Webで見積りを依頼し、富士通と直接契約する。他社製品が混ざっていると返送される場合がある |
| NEC | NEC(法人向け使用済みIT機器) | NEC製のパソコン、コンピュータ、通信機器など。訪問での回収か、拠点への持ち込み。料金はその都度の見積り |
| デル | PC3R(1回の回収が1〜9台の場合) | それ以外の場合の受付は、デルに確認 |
| 日本HP | PC3R | HP製のハードウェア(Compaq・DECブランドを含む)。パソコン以外の HP 製品も対象 |
| レノボ | PC3R | Lenovo・IBMブランドのパソコン関連機器 |
| Dynabook | PC3R | Dynabook製(東芝ブランドを含む)のパソコン・ディスプレイ。PCリサイクルマークの有無にかかわらず費用がかかると案内 |
| パナソニック | PC3R | パナソニック コネクトのパソコン・ディスプレイ |
| VAIO | PC3R | VAIO株式会社製のパソコン |
| Apple | Apple | Mac などの Apple製品。Apple Store への持ち込みか、宅配で申し込む |
各社の案内ページは次のとおりです。
- 富士通:事業系IT製品リサイクルサービス(PDF)(外部サイト・新しいタブで開きます)
- NEC:法人用IT機器の回収(外部サイト・新しいタブで開きます)
- 日本HP:法人向けPC・プリンター等のリサイクル(外部サイト・新しいタブで開きます)
- レノボ:事業系PC回収リサイクル・サービス(外部サイト・新しいタブで開きます)
- Dynabook:パソコンのリサイクル・買取り(法人向け)(外部サイト・新しいタブで開きます)
- パナソニック:パソコンのリサイクル情報(外部サイト・新しいタブで開きます)
- VAIO:事業系パソコンリサイクル(外部サイト・新しいタブで開きます)
- Apple:Appleのリサイクルプログラム(外部サイト・新しいタブで開きます)
- デルなど、PC3R が代わって受け付けるメーカー:PC3R が回収するメーカー一覧(外部サイト・新しいタブで開きます)
- 上記以外のメーカー:PC3R 会員メーカーの事業系窓口一覧(外部サイト・新しいタブで開きます)
複数のメーカーの機器が混ざっているとき
メーカー回収の対象は、原則としてそのメーカーの製品だけです。PC3R が受け付けるメーカーどうしは同時に申し込めますが、富士通や NEC など自社で受け付けるメーカーには、それぞれ申し込む必要があります。窓口や条件は変わることがあるため、申し込む前に各社のページで確認してください。
処分先の選び方
- 機器リストをつくる:メーカー、型番、台数、故障の有無を整理します。メーカー回収は窓口がメーカーごとに分かれるため、メーカー別にまとめておくと手続きが進めやすくなります。
- 値段がつくかを確かめる:年式が比較的新しいものや状態のよいものは、査定で確認します。値段がつく機器は、売却(買取・販売代行)を選べます。売り方の違いは法人PCの「買取」と「販売代行」の違いで解説しています。
- 値段がつかない機器の行き先を決める:メーカーの法人向け回収に出すか、産業廃棄物の収集運搬業・処分業の許可を持つ業者に委託します。許可業者に委託する場合は、許可の品目と区域の確認、書面での委託契約、マニフェストの交付と保存が必要です。
- データ消去と記録を手配する:どの行き先でも、引き渡す前に消去するか、消去と1台ごとの記録を引き受ける業者に依頼します。
- 書類を保管する:売買の明細、マニフェストや完了報告書、消去の記録を、資産台帳から外した記録と一緒に保管します。
社内での再利用やリース返却も含めた古いPCの行き先全体は、Windows 10の入替で出た古いPC、どうする?で解説しています。
引き渡す前のデータ消去
メーカー回収でも、データ消去は利用者が行うよう案内されていることが多くあります。たとえば PC3R は、回収した機器を記憶装置も含めて物理的に破壊して再資源化しますが、輸送の途中で紛失などが起きた場合に備えて、回収の前に依頼主自身でデータを消去するよう求めています。日本HP、レノボ、Apple も、引き渡し前のデータ消去をお客様自身で行うよう案内しています。
メーカーや処理業者が発行する完了報告書は、機器を処分したことの記録です。社内の監査や取引先への説明には、どの機器のデータを、いつ、どの方法で消したかを示せる記録もあると安心です。1台ごとの消去の記録を残しておきましょう。
証明書で確認したい項目はデータ消去証明書とは?、消去の方法の違いはソフトウェア消去と物理破壊の違いで解説しています。
REER JAPAN にご相談いただけること
REER JAPAN は古物商の許可を受け、法人のPCを買い取っています。日本ITAD協会の正会員です。
- 買取:1台から査定します。古い機器や故障品も含めて、まとめて査定します。(法人PC買取)
- 販売代行:値段がつきやすい機器は、販売代行で売ることもできます。(法人向けPC販売代行)
- データ消去:買取する機器のデータ消去は無料です。機器リストをご承認いただいてから消去し、1台ずつ記録します。消去証明書の発行は有料です(お見積り)。(法人向けPCデータ消去)
- 回収:関東圏は訪問回収、関東圏以外は事前にお見積りのうえ宅配便で承ります。(法人向けPC回収)
すべての機器に値段がつかない場合
お預かりする機器のすべてに値段がつかない場合は、お引き取りせず、メーカーの法人向け回収窓口をご案内します。
「どの機器に値段がつくかわからない」という段階でもかまいません。メーカー・型番・台数をお知らせいただければ、まとめて査定します。お見積りは無料です。無料お見積りからご相談ください。
文:株式会社REER JAPAN
参考
古いPCの回収・データ消去のご相談
台数が決まっていない段階でもかまいません。お見積りは無料です。
