リース満了のPC、返却前に何をする?データ消去・付属品・買い取りの確認ポイント
リース契約で導入したPCは、契約期間が満了すると、再リースで使い続けるか、リース会社に返却するかを選びます。入替に合わせて返却する場合、返却の前に済ませておくことがいくつかあります。
なかでも見落としやすいのが、データ消去の責任がどちらにあるかと、MDM などの管理の解除です。この記事では、公益社団法人リース事業協会の資料をもとに、返却前に確認したいことと、返却せずに買い取って売却する場合の注意点を整理します。
結論:データ消去は借りている会社の責任。まず契約の返却条件を確認する
リース中のPCの所有者はリース会社ですが、PCに記録したデータを消去する責任は、使っていた会社(ユーザー)にあります。リース事業協会も、返却の前にユーザーの責任と負担でデータを消去するよう求めています。
消去の方法、付属品、返却の期限や費用は契約によって異なります。満了の通知が届いたら、契約書と通知の内容を確認し、わからない点はリース会社に問い合わせましょう。リース会社の所有物なので、自社の判断で売却したり、記憶装置を壊したりすることはできません。
リース満了時の選択肢と、PCの所有権
リース物件の所有権はリース会社にあり、ユーザーはリース期間中、物件を使う立場です。期間が満了したら、ユーザーは再リースか終了かを選び、終了する場合は契約の定めに従ってリース会社に返します。
| 選択肢 | 内容 | 確認すること |
|---|---|---|
| 再リース | 同じPCを、契約を続けて使う | 再リースの料金と期間 |
| 返却(終了) | リース会社が指定する場所へPCを返す | データ消去、付属品、返却の期限と費用の負担 |
| 買い取り | リース会社からPCを買い取り、自社の資産にする | 買い取れるかどうか、金額と手続き(リース会社に確認) |
満了の通知と返信の期限を確認する
リース会社からの満了の通知は、満了の数か月前に届くのが一般的です。期限までに返信しないと、自動的に再リースになる契約もあります。また、返却が遅れると追加の料金がかかる契約もあるため、通知に書かれた期限を確認しておきましょう。
リース事業協会のパンフレットでは、リース物件はリース会社の所有物なので、壊したり、一部を手元に残したり、リース会社に無断で販売会社に引き渡したりすることはできない、と説明しています。
返却前のデータ消去は、ユーザーの責任
リース事業協会の報告書(2020年)は、PCに記録されたデータの管理責任はユーザーにあり、リース会社に返す場合も、データを消去する責任はユーザーにあると整理しています。協会が作成したリース契約書のひな型にも、データが記録されているときはユーザーの責任と負担で消去して返し、返した後に漏えいしてもリース会社は責任を負わない、という条項があります。
リース会社は、返却されたPCにデータが残っているかどうかを確認しません。データの扱いは、返却する側で終わらせておく必要があります。
記憶装置を壊して返すことはできない
データを確実に消そうとして、HDD や SSD を物理的に壊したり、強い磁気をあてたりして返すと、リース会社の所有権を侵害することになり、契約違反になります(リース会社の承諾がある場合を除く)。返却するPCは、使える状態のまま、ソフトウェアでデータを消去するのが基本です。
初期化(リカバリー)だけでは、データが残る
「返却前に初期化しておけばよい」と考えがちですが、電子情報技術産業協会(JEITA)の資料では、フォーマットや、リカバリーで購入時の状態に戻す操作をしても、データが見えなくなるだけで、特殊なソフトウェアで読み取れる場合があるとされています。返却前の消去は、データ消去用のソフトウェアで記憶装置全体を上書きするなど、復元できない方法で行います。
故障して消去できないPCは、リース会社に相談する
記憶装置が故障していてソフトウェアで消去できない場合でも、自社の判断で壊すことはできません。どう扱うかを、返却の前にリース会社に相談しましょう。
返却前のチェックリスト
| 項目 | 確認すること | ポイント |
|---|---|---|
| 契約書・満了の通知 | 返却の期限、返却先、返却費用の負担、消去方法の指定があるか | 契約によって異なるため、不明点はリース会社に確認する |
| データ消去 | すべての記憶装置のデータを、復元できない方法で消去したか | 記憶装置は壊さない。1台ごとに記録を残す |
| MDM・Windows Autopilot | 管理サービスの対象から外し、Autopilot の登録を解除したか | データを消去しても、管理の設定は残る場合がある |
| BIOS などのパスワード | BIOS(UEFI)やHDDに設定したパスワードを解除したか | 残っていると、返却先でPCを確認・再設定できない場合がある |
| BitLocker などの暗号化 | 暗号化していても、データ消去を済ませたか | 暗号化していることを理由に、消去を省かない |
| 付属品 | ACアダプター、バッテリー、ドッキングステーションなど、一緒にリースした付属品がそろっているか | 物件の明細と照らし合わせる |
| シール・ラベル | 社内で貼った資産管理ラベルやシールをどう扱うか | リース会社の所有権を示すラベルははがさない。社内のラベルは返却案内に従う |
MDM の解除は、データ消去とは別に必要
リース事業協会は2023年、返却するPCを MDM(モバイルデバイス管理)の管理対象から外すよう、パンフレットで呼びかけています。外さずに返すと、データを消去していても、再販されたときにPCに会社名が表示されたり、情報漏えいなどの事故につながったりするおそれがあります。
リース会社は、MDM が解除されているかどうかを見分けられません。MDM はユーザーと MDM の提供会社との契約にもとづくサービスなので、リース会社が代わりに解除することもできず、ユーザーの責任で解除する必要があります。
Windows Autopilot に登録しているPCも同様です。Microsoft は、修理や使用の終了などでPCが組織を離れるときは、Autopilot から登録を解除するよう案内しています。Intune を使っている場合は、Intune からPCを削除したあとで、Autopilot の登録を解除します。
付属品は物件の明細で確認する
リース物件の一部を手元に残すことはできません。導入時にPCと一緒に届いた付属品が返却の対象になるかは、契約書や物件の明細、リース会社の返却案内で確認しましょう。保守契約を結んでいるPCは、保守の解約手続きも忘れずに行います。
リース会社の消去サービスを使うか、返却前に消去するか
リース会社によっては、返却されたPCのデータ消去や、消去証明書の発行をサービスとして用意していることがあります。費用がかかるかどうか、どの方法で消去するか、1台ごとの証明書が出るかは、リース会社や契約によって異なります。
なお、サービスの申し込みがないまま、リース会社が返却後に消去を行うことがありますが、リース事業協会の報告書では、これはリース会社が自主的に行っているもので、ユーザーから消去を引き受けたものではないとされています。リース会社が消去してくれるから大丈夫、とは考えないようにしましょう。
| 進め方 | よい点 | 確認すること |
|---|---|---|
| 返却前に自社で消去する | データが残ったPCを社外に出さずに済む | 消去の手順と、1台ごとの記録の残し方 |
| 返却前に専門業者に依頼する | 消去と1台ごとの記録をまとめて任せられる | PCを社外に持ち出してよいか(リース会社に確認)、返却期限に間に合うか |
| 返却後にリース会社のサービスを使う | 返却の手続きとまとめて頼める | 費用、消去の方法、証明書の有無。返却までの保管・輸送の間はデータが残っている |
どの方法でも、消去したPCの一覧と、1台ごとの記録を社内に残しておきましょう。個人情報保護委員会のガイドラインでも、個人データを削除した記録を保存することや、作業を委託した場合は証明書などで確認することが重要とされています。記録の中身はデータ消去証明書とは?で解説しています。
満了時に買い取って売却する場合
リース中のPCの所有者はリース会社です。リース事業協会のリース契約書のひな型でも、ユーザーはリース会社の所有権を侵害する行為をしないと定めています。そのため、リース中のPCを、そのまま買取業者に売ることはできません。
満了時に、リース会社からPCを買い取れる場合があります。買い取ってPCの所有権が自社に移れば、その後は自社の資産として売却することもできます。買い取れるかどうか、金額や手続きは契約とリース会社によって異なるため、満了の通知が届いたら早めにリース会社に確認しましょう。
買い取りを検討してよいケース
- 年式が比較的新しく、台数もまとまっていて、中古として値段がつきやすい
- 一部のPCを、社内でもうしばらく使いたい(再リースと比べて検討する)
- 入替の時期と重なり、返却期限までに消去や梱包の段取りをつけるのが難しい
買い取る前に、売却したときの見込みと比べる
リース会社に支払う金額より、売却して受け取れる金額が低ければ、買い取っても費用の回収にはなりません。買い取る前に売却先の査定を受けて、見比べておくと判断しやすくなります。買い取ったPCも、売却の前にデータ消去が必要です。
売却の方法は、業者に買い取ってもらう「買取」と、販売を任せる「販売代行」があります。違いは法人PCの「買取」と「販売代行」の違いをご覧ください。
あわせて読みたい記事
- ソフトウェア消去と物理破壊の違いは?:返却するPCに向いている消去方法と、HDD・SSD の違い
- データ消去証明書とは?:証明書に書かれている項目と、受け取ったら確認すること
- Windows 10の入替で出た古いPC、どうする?:再利用・売却・リース返却など、古いPCの行き先の比較
- Windows 10のESU、2年目も払う?:リース満了と入替の時期を考えるときの判断ポイント
REER JAPAN にご相談いただけること
- 返却前のデータ消去:機器リストをご承認いただいてから消去を始め、1台ずつ記録します。機器リストやレポートはオンラインで確認できます。リース中のPCを当社へお送りいただく場合は、事前にリース会社へご確認ください。(法人向けPCデータ消去)
- 自社の資産になったPCの買取:満了時にリース会社から買い取ったPCを、1台から査定します。古い機器や故障品も含めて、まとめて査定します。データ消去は無料で、消去証明書の発行は有料(お見積り)です。(法人PC買取)
- 販売代行:比較的新しいPCがまとまってある場合は、国内外の販路で販売する方法もあります。検品レポートと販売価格の2段階でご承諾いただいてから販売します。(法人向けPC販売代行)
- 入替:キッティングやデータ移行を含めた入替を承ります。整備済みPCでの入替もご提案できます。(法人向けPC修理・保守)
「返却するか、買い取って売却するか、まだ決めていない」という段階でもかまいません。機種・台数とリースの満了時期をお知らせいただければ、返却前の準備と、買い取った場合の売却をあわせてご提案します。お見積りは無料です。無料お見積りからご相談ください。
文:株式会社REER JAPAN
参考
- 公益社団法人リース事業協会「情報記憶媒体を有するリース終了物件の処理等について<報告書>」(2020年2月)(外部サイト・新しいタブで開きます)
- 公益社団法人リース事業協会「リース物件の返還時に MDM の管理対象外としてください」(2023年6月)(外部サイト・新しいタブで開きます)
- 一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)「パソコンの廃棄・譲渡時におけるハードディスク上のデータ消去に関する留意事項」(2018年10月改訂)(外部サイト・新しいタブで開きます)
- Microsoft Learn「Windows Autopilot 登録の概要」(デバイスの登録解除)(外部サイト・新しいタブで開きます)
古いPCの回収・データ消去のご相談
台数が決まっていない段階でもかまいません。お見積りは無料です。
